【Skills of Australian Football】ドリブルキック

【Bend it like Beckham (ベッカムのようにカーブするボールを蹴る)】のオーストラリアンフットボールバージョンだ。コリンウッドFCの一流フォワード、ピーター・ダイコスに端を発するこのキック、このキックにより決められる驚くべきゴール無くして進む試合はほとんどない。

元ブリスベンライオンズFCのゴールキックチャンピオン、ジョナサン・ブラウンは、【ドリブルキックは、プレーヤー達のレパートリーの中でもとても重要な部分を占めるようになったんだ。なぜならフォワードラインでマークするのはとても大変だからね。】と言う。これは、フォワードには多様な能力が要求されることを意味しており、(グラウンドプレーヤーでありながら同時にターゲットにもなる。現に、ボールを奪い合う集団の中からのこぼれ球が、短身で俊敏なフォワード選手、または普段は長身選手としての役割を果たすが短身選手のようにもプレーするフォワードの手に渡ってしまい、好機を見つけてゴールを決められてしまう場合などに備え、各チームは、相手チームのフォワードラインをブロックしようと多用なディフェンス戦略を立てるのだ。)現代のフットボールにおいて、各チームがますます活用していく必要のあるポジションなのである。
ドリブルキックを取り入れる。【最近では、スナップゴールやドリブルゴールの蹴り方を習得していないために以前は蹴ることができなかった2、3ゴールを決めることができるようになるのはチームにとってはすごく大きいことなんだ。】とブラウンは言う。

1979年から1993年の間活躍した、コリンウッドFCのピーター・ダイコス、彼の家族背景と、その驚くべきゴールキック能力を合わせ、ルー・リチャードが名付けたニックネーム、【ザ・マケドニアン マーベル(マケドニアの驚異)】としてコリンウッドアーミー(コリンウッドサポーター)に親しまれていた。彼がいかなるサイズのディフェンダーにとっても競うのが容易でない相手であったことから、コリンウッドとの試合を控えた敵チームにとって彼の存在は悪夢であった。コリンウッドカラーである白と黒のユニフォームを着て250ゲームの出場を果たし、549ゴールを決めたダイコス、彼の決めたゴールの多くは、その難易度から、後に何度もリプレイされることとなる。1990年のグランドファイナルで、困難なポケット位置からであろうが、相手チームのフルバックから必死のタックルを受ける中、ゴールをねらって意図的にドリブルキックをけろうが、ダイコスのマジックハンドにかかると不可能なゴールはないのである。
ダイコスが取り入れたこのスキル、今日のプレーヤーの手により、長く競争的なトレーニングの中で、バウンド、ドリブル、バウンド、方向転換の基本からさらに新しいレベルへと変化してきた。
ダイコスの時代、この不可能なゴールを何度も試みるほど能力のある選手(もしくは、大胆な選手、というべきか)はほとんどいなかった。しかし、彼のボールを扱う能力が回りに及ぼす影響は後に、コリンウッドFCのアラン・ディダック、ブラウンのブリスベンFC時代のチームメイト、ジェイソン・エイカーマニス、セイントキルダFCのステファン・ミルン、そしてグレーターウェスタンシドニーFCのスティーブ・ジョンソン等の次世代AFLプレーヤーの活躍を通して明らかになることとなった。現に、今日行われる試合で、高いドリブルゴールのスキルを持たないフォワード選手はいない。退屈な試合からは程遠い上、ドリブルゴールが蹴られることにより上がる歓声を聞くことなしに試合が進むことは稀なのある。

ダイコスの存在は、現代のフティーマジシャン、スティーブ・ジョンソンに大きな影響を与えた。【子ども時代はコリンウッドのファンだったんだ。】と彼は言う。【ピーター・ダイコスは僕の子ども時代のアイドルだった。ワンガラッタ(ヴィクトリア州北部)で最初にフティーを始めた時、僕は身長が低いほうの一人で、兄たちのいるチームでプレーすることが多かったんだ。自分より2~3歳上の子たちの中でプレーしていたから、ボールを得るためには利口になる必要がある、ダイコスのようにボールを奪い合う集団の周りを動き回って、そこからのこぼれ球をちゃっかり得ることができるようなプレーヤーにならないといけないと気付いたんだ。だから彼のプレーを見るのは大好きだったよ。】【ピーター・ダイコスのプレー方法と僕のジロングFCでのプレーに共通点があるのはそのせいだよ。彼の時代、スナップショットキックやバナナキック、その他の独特で難しい方法でゴールを決めるのにおいては、明らかに彼が一番だった。僕がある意味で彼を手本にしていたのは事実だし、それは僕がAFLレベルに到達する時まで続いたよ。】
何年にもわたるジョンソンの驚くべきゴール得点の偉業をよそに、ノースメルボルンFCのフォワード、ドリュー・ペトリ―もまた、ダイコスのファンの一人である。【ダイコスは今でも一番だね。彼ならゴール前ならどこからでも、どんな角度からでもゴールを決めることができる。彼は僕が見た中でも間違いなく一番だよ。】

単純なドロップパントを蹴るよりも、低めのボールをバウンドさせながら運ぶことが好まれるのに対し、プレーヤーがゴールへ向かって真っすぐ走ることが特に高い傾向にあったため、ドリブルキックはゴール得点を得るためには頼りになる方法ではないと、過去何人かの選手が反対の声を上げていた。(ホーソーンのゴールキックチャンピオン、ジェイソン・ダンストールがその例である。彼の【バウンス】プログラムはフットボールシーズンの間Foxフティーチャンネルで毎週放送される。)しかし、実際のところ、今日のチームは、自分より良いセンターポジションにいるチームメイトにボールをパスする等の明確な選択肢が無い場合においては、選手がドリブルゴールを狙うことに対してはるかにオープンになってきているのだ。

4回のプレミアシップを誇る、ホーソーンFCのジョーダン・ルイスは、【ディフェンダーとそのチームは、コリドーをしっかり守っている。だから、必要な時に(ドリブル)ゴールを蹴ることができるように、持ち技をいくつか持つことが必要だよ。】と言う。
ルイスのコーチ、ホーソーンFCのアリスター・クラークソンは、苦しい試合の中で、チームを苦境から救い出すために、手品のようにどこからともなく解決策を見出し、奇跡的なゴールで得点を稼がなければならない時があることは十分認識しながら、シリル・リオリ、ルーク・ブルースト、ジャック・ガンストン等の選手に対し、ドリブルキックでゴールを狙うことを強調している。特にリオリは、アデレードFCのエディ・ベッツがまさにそうであるように、いとも簡単そうに蹴るが、バウンダリーラインのギリギリ、左右のフォワードポケットから、自分のブーツにむかって斜めにボールを落とし、ボールの両端が交互にバウンドし、カーブしながら最後の瞬間にゴールを通過させる、という練習を何時間もかけて行っているのである。

ジョンソンは、リオリやベッツのようなゴールキッキングマニアになることを目指したいと思っている次世代選手へのアドバイスとして、【地元の公園や、フッティグラウンドで練習を積むことだね、そうするとこのキックがそれほど難しくないことが分かってくるよ。練習を積めば、それが試合に出る時の自身になり、試合でまた練習をするんだ。】と言う。
【全てはボールの持ち方次第だね。】と、メルボルンFCのキャプテン、ネイサン・ジョーンズは言う。【蹴り方によっては、ボールはよりシャープにカーブしたり、カーブしにくくなったりする。だから練習しながらボールがグラウンド上をどのようにカーブするかを学ぶんだ。】

最後の言葉は、後に子どもたちにボールの持ち方や、正しいボールの蹴り方を教える【ザ・ゴールマスター】を立ち上げた巨匠、ピーター・ダイコス本人から。
【僕がなぜあれほどしょっちゅうラッキーだったかって? それは、練習の上に練習を積んで、そしてまた練習。それに加えてまた練習。そうすればボールを扱うスキルが向上する、特にキッキングスキルが向上するんだ。僕はラッキーだっただけだと言う人がいるんだけど、そうだね、練習を積めば積むほど、僕はますますラッキーになっていったんだよ。】

 

1.【ザ・マケドニアン・マーベル】の活躍を見るのは、 http://tinyurl.com/grbx4z9
2.ジョナサン・ブラウン、ドリュー・ペトリ―、ネイサン・ジョーンズのコメントは(【The Art of the Dribble Goal】からすべて引用。その他のAFLプレーヤーのコメントをもっと聞くのは、 http://tinyurl.com/jr37n5y
3.ピーター・ダイコスのコメントは、ピーター・ダイコス提供、【How to Kick like a star with Goal Master(パート1とパート2)】から引用。
パート1を見るのは http://tinyurl.com/zpwt6x7
パート2を見るのは http://tinyurl.com/jfqlonl

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